(彼のフィルモグラフィーはここを見ればわかるかと)
短めを意識して書いてみます。
1章・映画デビューとバイク事故まで
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・深作欣二さんのヤクザ映画に主演が決まり、撮影が始まるも諸事情で深作さんが映画の撮影を中止、その結果北野武さんが映画を撮ることに決まった。
1989年:その男凶暴につき完成。
素人くさい撮り方ではあったものの、映画の著名人から「すげえ面白いよ!」と話題にはなった。
1990年:3-4x10月完成。たけし軍団を主演させ、複雑かつ難解な構成の映画に挑戦するも失敗。失敗作である事を北野自信認めているが、北野武さんは「出来の悪い息子みたいで一番好き」と公言しており、ゲームクリエイター須田51氏もこの映画を武映画のベストとして挙げている。
筆者は3位ぐらいですかね。とにかく事故前の北野はドライ。かっこいい。
1,991年:あの夏いちばん静かな海完成。
黒澤明監督はこの映画の大ファンである。アンチメロドラマ的恋愛映画として、ファンも多い映画。[この作品から久石譲が音楽家として参加]
1993年:ソナチネ
監督の引退作になる予定だった映画で、「好きなようにやった」と口にしている。フライデー事件の際沖縄に高飛びしていた経験を元に、沖縄でドライな死と陰惨な空気を描く。
海外の映画祭で賞を撮る寸前まで行くも、残念ながら賞は獲得できず。
しかし映画雑誌などの日本映画部門では2位を獲得するなど高評価を得ていた。
1994年:みんな~やってるか~!完成
シリアス路線から一転。荒唐無稽なコメディ映画を発表。
あまりにもナンセンスすぎてクソ映画の代表格まで上り詰める。
さて、この映画の後例のバイク事故が起きるわけですね。
本人は「目の前に拳銃があったら自分に撃っていた」「交通手段がバイクで良かった。電車だったら飛び込んでたと思う」と口にしており。実質自殺のようなものだった。
2章・バイク事故後の作品
1996年:キッズ・リターン
そして芸能人としてのキャリアを失いかけた北野は映画の登場人物にキャリアの喪失をさせ「こいつらはどうなると思う?」と問いかけをする映画を撮ります。
最も北野映画の中でファンの多い映画だと思います。評価もとても高いです。久石譲のエンディング曲も良い!始まりの予感のような終わりの喪失感の様ななんともいえぬ旋律はぜひ聴いて欲しい
1997年 HANA-BI
この映画がベネチア国際映画賞で金獅子を撮り世界のキタノムード一色に
ドライな事故前の映画とは打って変わってウェットな描写が展開されており、ドライのソナチネ。ウェットのHANA-BIと分けると良いかも。
1999年:菊次郎の夏
この映画のために子供のオーディションをやったのだが、武は一番かわいくないと思った子を選んだらしい。(いかにも北野さんらしい・・・)
海外ではかなりの高評価。久石譲さんの「summer」という劇伴はその後超有名になり、CMソングの定番になった。
2000年:BROTHER
アメリカでの全面ロケが行われた映画。
北野映画っぽさはほとんど無いが、ギャング映画としてかなり面白いと僕は思います。久石譲の音楽も結構好み。
2002年:DOLLS
彼の恋愛理想論が描かれた映画。
この映画の音楽性で北野武と久石譲はもめて、久石譲さんはこの映画を期に北野映画の音楽作りから手を引きます。
2003年:座頭市
リメイクして欲しいと言われた時、 本人曰く「リメイクしてもいいけど、別物になるよ?」と口にしており、勝新版座頭市とは全くの別物。
「刀と刀がぶつかり合うチャンバラはやりたくなかった」と公言しており
戦闘シーンがただのチャンバラになってないのが見事。後オチは北野さんらしいですね。「目が見えない侍なんているわけないじゃん」というのが。
3章・混迷を極める芸術3部作
この後北野さんはどんな映画を撮ればいいのかさっぱりわからなくなり、芸術3部作という迷いの多き映画を3本ほど撮ります。
2005年 TAKESHI'S
元々はフラクタルという事故前から温めていたネタを引っ張り出したモノ。
3-4x10月と同じ複雑怪奇な構成に挑戦するも失敗。
2007年:監督 ばんざい!
フェリーニの81/2に強い影響を受けた作品。
この映画の原題はCopus19/32というものでした。
フェリーニの81/2のタイトルの語源は、フェリーニが今まで撮った映画の本数が元になっており[撮った映画6本:短編2本:共同制作1本]を今まで撮っていて、短編と共同制作を2分の1にすると、ちょうどこの映画は81/2目の映画になるよ、というものでした。
北野さんのCopus19/32は、死ぬまでに撮りたい映画の本数でこの映画は19本目だ。という事なんですね。
モロにフェリーニでしょ。
ちなみ内容はダメダメです。
2008年:アキレスと亀
評論家に振り回される芸術家、つまり北野自信を描いた映画。
「作りたいものを作れば良い」というこの映画ラストでようやく北野監督は吹っ切れたワケです。
・4章 そしてエンタメへ・・・
2010年:アウトレイジ
ついに吹っ切れた北野が誰でも楽しめるバイオレンス映画を完成させる。
興行収入はギリギリ目標に届かなかったものの、レンタルビデオで大ブレイク。収益をプラスにする事に成功します。
2012年:アウトレイジ ビヨンド
今度は脚本寄りの映画を一本撮る。
バイオレンスを抑え脚本に集中させた作りになっており、前作のようなバイオレンスを期待したファンは残念がったが、筋の通った脚本は多くの評論家達から高評価を授かる。
総評
作風がコロコロ変わるたけし映画。それに一番振り回されたのは北野自信であった。混迷を極めた時期もあったが、アウトレイジを経てついに誰でも楽しめる映画を撮れる技術の高い映画監督として再生を遂げた。今後の活躍にも期待が持てるだろう。
というわけで北野さんのフィルモグラフィーでしたー。
竜三と7人の子分に関しては真に申し訳ないのですがまだ鑑賞しておりませんのでご容赦ください。
ではでは。