色々文章の勉強もかねて書く所

文章を上手く書けるようになりたいので、文章の練習に使っているブログです。2015年頃の初期の記事は適当な物も多いです!ごめんなさい!文章の練習にここを使わせてください!

OVAフリクリレビュー:監督のやりたいほうだいと、意外とはっきりしてるプロット

フリクリを最初に見たのは20歳の時だったが、その時は「こんな監督の独りよがりに付き合ってられるか」と思っていたが、25歳になって見てみると非常に面白かったのでレビューをしておきたい。

 

フリクリはとにかく荒唐無稽で、演出に限ってはただ監督の好き勝手が暴れまわっている作品だ。

 

突然漫画になって突然サウスパークになり大平晋也作画監督の修正が入っていない原画が入り金田伊功風のアニメがいきなり始まるし、猥褻でお下品で「観客にプロットを伝えよう」なんて親切な気持ちは一切ないように一見見える。

 

なぜ野球?なぜアイロン?なぜサバゲーが始まる?なんでお箸講座?なんでエヴァンゲリオンなフォント使ったりハルコはエヴァ初号機みたいなジャンプしたりすんの?というのに特に意味は無く、ただ「監督が好きだから」という理由に尽きる。

 

でもそんな中でも「プロットの間接的表現」がフリクリの脚本は秀悦だった事に気付かされた。

 

マミ美はナオ太の兄の事が好きだったが、兄は海外に旅立ってしまっていて、兄は海外で既に金髪美女を手に入れてしまっていてマミ美は失恋の代価彼氏としてナオ太の事が好きになる事でなんとかなっていたマミ美の精神が、ナオ太をハルコに奪わる事でマミ美のフラストレーションが爆発してしまう。そんな中でナオ太のリビドーも小学6年になってついに目覚めを迎えようとしていて・・・

 

20歳の時には気づかなかったが、ありとあらゆる意味なさげなカットや荒唐無稽なセリフが、実はプロットを間接的に巧みに説明している事に気付かされた。

 

別の作品になるがまどか☆マギカという作品では、ありとあらゆる作品内の設定やプロットを「完全に言葉で説明しきる」という事をやってのけた。キュウベエというキャラが全てを説明しきる事で作品を成立させてきた。

 

フリクリのプロットテリングはまさしくまどか☆マギカの対局にあると言ってもよく、何気ない荒唐無稽なやりたいだけの中でアニメーションや場面が超高速でノンストップで進んでいく中で、監督の「やりたかっただけ」の中に大事なプロットをこっそり混ぜる手腕に圧倒されるし「もっと観察してプロットを把握してやろう」という気持ちで何回も繰り返し見てしまうワケである。いわばウォーリーを探せ!ならぬ「プロットを探せ!」なのである。

 

この「やりたいだけをやってるだけと見せかけてプロットを何だかんだで筋の通ったものにする」という所の手腕とテクニックだけで完全にやられてしまう。何回も「今回は脚本に集中して見よう」とか「今回はカットが持つ意味を咀嚼して見よう」とかプロットを追いかける内に監督の好き勝手もなんだか好きになって来る。こうなってくるともうこちらの敗北である。

 

もちろん明かされない部分も多い。海賊王って?メディカルメカニカって何だ?ハルコって何で宇宙人なんだ?

 

でもそれはメインストーリーではなく、この作品のメインストーリーは性欲が芽生えた小学6年生と、死にたがりの女性高校生がグチャグチャな気持ちになる中で自分がどうすればいいか気づくお話であって、そこに宇宙人だのカタストロフィだの宇宙だのはそもそも関係無かったのだ。

 

でも始めて性欲が芽生えたり、思春期の頃の苦しい事っていうのは、当人にとっては宇宙の崩壊みたいな感覚だと思うんですよ。

 

「凄いことなんてない、当たり前の事しか起こらない」

 

このセリフはまさしく、ハル太が自分というものを獲得する事に成功したに他ならないし「未熟な人間が境遇を乗り越え自分という概念を獲得する」というプロットはまさしく様々な寓話の中でも王道そのもの。そう考えてみれば「なんだフリクリって監督の好き放題に見せかけて青春の王道やってるじゃないか!」と気付かされるワケである。

 

劇伴がロックなのも、まさしくフリクリが青春のフラストレーションに対する物語であるからであって、劇伴も優れていた。

 

エモーショナルな街並みの背景美術と、ひたすら「そのカットが楽しいビジュアルであること」意識を集中した結果としての1カットごとの高カロリーぶりも本当に見ていて楽しかった。

 

「人は選ぶ事はまあ間違い無いんだけど、割と王道だから見て欲しいな・・・」という事で。フリクリをよろしくお願いします。

 

そんなめっちゃ楽しいアニメフリクリは、実は現在DアニメストアフルHDで見れてしまうんですよ

anime.dmkt-sp.jp

僕が見た時はDVDだったので、線の質感がわかりづらかったのですが、フルHDだと線の質感が本当にくっきりしていて綺麗でした。ぜひ見ましょう

 

終わり