色々文章の勉強もかねて書く所

文章を上手く書けるようになりたいので、文章の練習に使っているブログです。2015年頃の初期の記事は適当な物も多いです!ごめんなさい!文章の練習にここを使わせてください!

ジョン・ケージの4分33秒の演奏者を色々比較しながら「音楽はいつ成立するのか」について考える

ジョン・ケージの楽曲に「4分33秒」なるものがある。

 

4分33秒間、人間が「音楽を発生させないように沈黙を保つ」という形でこの音楽は演奏されている。

 

ここでは、youtubeに投稿されている様々な4分33秒を聴いて、演奏者ごとの違いを色々考えようと思う。

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・演奏者「水溜りボンド」氏の4分33秒

 

全体的にはマイクに入っている「スー」というノイズ音が印象的、服の擦れる音や、かすかに聞こえる2人組の息遣いも良い音楽表現になっている。

 

自宅ではなくどこかの施設の部屋で録音しているのか、空調の音もわずかに聞こえる。

 

4分33秒の中では「生活の空気の音」を堪能できる、聞きやすい音楽に仕上がっていると感じる。

 

初心者にオススメですね。

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オーケストラで4分33秒を再現しようとしたもの。

 

観客がこらえきれずに咳をしたり、その咳が他人にもあくびの様に伝染してしまい、咳の音が多くなるパートはビート感があって音楽的要素が強い。

 

ちょうど曲の初めに「ゴホンゴホン・・・」という咳が鳴るのだが、これがどんどん周りに伝染していくところは音楽的ダイナミズムを感じてしまう。

 

また、赤子の声がときおり聞こえるが、赤子の声の高音が絶妙に音楽的な響きを醸し出している。

 

空気の音は「サーー・・・」という弱めのノイズ系、ちょうどアナログテレビのノイズ音を静音的にしたような音になっている。

 

全体的には赤子の高音と咳のコンビネーションもあって濃い口な印象。

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ロックバンドの4分33秒

 

まず、マイクに乗っている「ザー」というノイズ音。これがまずかなりの高音で、流石はロックバンドだなぁと感心してしまう。

 

しかし、他の4分33秒に比べると、ザーというノイズ以外はあまり音がなっていない。個人的には薄口に感じてしまった。

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やはり、オーケストラ会場の4分33秒は、音が反響しやすい環境である事もあってか、4分33秒との親和性が高く感じる。

 

この4分33秒は演奏者が沈黙を心がけているので、あまり音は発生していないが、オーケストラの観客席の足音などが非常に打楽器的で聴いていて気持ちいい。

 

マイクの空気の音は「ガー」という感じの、高めだけど音量は少なめ、もっとノイズっぽいほうが僕は好きかな。と感じてしまう。

 

鼻をすする音とか、靴で床を歩く音であるとか。オーケストラ系の4分33秒は「観客が沈黙を保つことに失敗し音楽が成立してしまう」事がかなり多い。

 

でも、ジョン・ケージ4分33秒が伝えたい事は「沈黙を保つことの難しさ」と「音が生まれた瞬間にそこに音楽は成立してしまう」という所なので、オーケストラはやっぱり4分33秒に向いている演奏会場なんじゃないかなぁ。なんて。

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この4分33秒は中々良いんじゃないでしょうか。

 

まずマイクの空気の音。かなりノイジーですよね。洗濯機のランドリーの音の様な「ゴー」という音、かなり音楽的だと感じます。

 

何かがカタカタ揺れている音も聴いていてリズミカルで良いですね。

 

演奏者が沈黙を成立させようとしても、周りの環境が沈黙を破ってしまう。それは電化製品の鳴らす一定の「ゴー」という空気の音だったり。

 

完全で完璧な無音でとしての沈黙状態」を発生させるがいかに現実世界に発生させる事が難しいか。音が発生した時点で音楽は成立してしまうだろうとジョン・ケージは言いたかったんですね。

 

 

https://itunes.apple.com/ca/album/433/406490689?at=10l8JW&ct=hatenablog

 実はジョン・ケージ4分33秒にはmp3版が存在するが、僕は正直デジタル音楽版は好きにはなれない。

 

なんてったって完全な無音だからである。ジョン・ケージの4'33はあくまで「沈黙を作り出すことの難しさ」に焦点を当てているし、沈黙という状態の成立に失敗した時にどんな音楽状態が発生したのか。という所含めて4'33は音楽として完成するんじゃないかな。と思ってしまうワケである。

 

そういう意味ではこのiTunes版4'33は駄作としか言えない。「完全な無音」という現実で成立させるのが非常に難しい状態を、デジタル信号を0にすることでアッサリ実現できてしまったからだ。

 

~終わりに~

ジョン・ケージが何を言いたかったかっていうと「音楽と音楽じゃないもの、その音の違いとは何だ?」という所だし、更に言ってしまうと「音があれば、もうそれは音楽として成立してしまうだろう」という事。

 

音と音楽の境界線はそもそも存在せず、音自体が一種の音楽性を秘めている以上、音が出ていればそれはもう音楽が演奏されている状態と同一だろうと言いたかったワケですね。

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彼の「water walk」にはそのメッセージ性がものすごく詰まっていて「生活の音だけで音楽は成立する」という主張を明確にするために、ピアノ以外は生活の道具だけを利用して彼は音楽を成立させようとします。

 

そこにコード進行やメロディ、あるいはエイトビートといったリズムが無くても、音が発生した時点で音楽は成立している。それがジョン・ケージの主張なワケです。

 

これで自然の音に興味を持った方はぜひ、自宅で耳をすませてみてはいかがでしょうか。

 

炊飯器や電子レンジの音に意識を向ける。意識を研ぎ澄ませればきっと洗濯機の稼働音にも「ああ、洗濯機の音はこの高さなんだ」と感じ、生活の中にも音楽的要素を見つけられると思います。

 

というワケで4分33秒のレビューと「音楽が成立するという定義について」の話でした。

 

終わり。