ネットフリックスに契約して、湯浅政明版のデビルマンであるデビルマンcrybabyを見たので思った事を書きます。短めにする予定です。ザックリ書いてサクッと終わらせます。
・作品全体について思った感想。
原画のトーンも背景美術のトーンも「湯浅政明印」になっている感が凄く、もう湯浅政明の作品そのものになってる感が凄かった。湯浅政明ファンだから俺は好きだけど、モンスターの造形が「湯浅政明のソレ」な点については原作ファンは賛否が別れるかも。
作画は正直物足りなかった。何より「戦闘シーンの消化試合っぽさ」がピンと来なかった。正直どの戦闘シーンもサクッと始まってサクッと終わる。作画的に「とんでもねえ~」みたいなカットはぶっちゃけあんまりない。
戦闘シーンの物足りなさはやはり感覚として残る。戦闘シーン以外の作画も、及第点ではあるが、やはりもう一味欲しかった。結構動きが激しいアニメなので、動きの演出を強める上でももうちょっと作画パワーが欲しかったなぁという印象。
群像劇としての完成度は高く「世の中がおかしくなっていく中で色んな人間が様々な行動を取る群像劇」としての完成度は結構高いと思う。「この人が悪の道行っちゃうんだ~」とか「この人は正義の道を貫くのか・・・!」とかそういう人間と世の中の動き方みたいな物語の描写は良く出来ている。
インターネットを中心とする集団ヒステリーもリアリティがあって「現実にありそう」感がしっかり出ていてよかったと思う。
ただ「明と了という2人の物語」という部分が少し物足りなく感じた。
そもそもこのデビルマンは全10話である。ものすごく作品のスピードが早いし、ダイジェスト的スピードで作品が流れていく。
そういう中で「明と了の物語」の描写がやや不足してしまい。どうも了が明を求める理由が不十分なまま最終決戦に望んでしまい。どうしても最後の「アダムとイブの二人」的な状況にエモーショナルさを感じなかった(この辺は個人差かもしれません)
80年代的音楽チョイスは良かった。80年代電子音楽を選ぶ事によって、より作品の中で描画されるバイオレンスやエロスがより際立ったものになって、そこは素晴らしかった。
でも作画がもっと強ければもっとバイオレンスやエロスの描写が際立ったと思うし、作画不足はとにかくこの作品の残念な所。作画力が高ければトップクラスまで行けてたかもしれないだけに残念な気持ちが残る。
「I am devilman」の所は、「私はスパルタカスだ」感があって良かった。この作品のテーマである「人はニヒリズムに勝てるのか」とか「人は良心を極限の状況下でも選択できるのか」とか。そういうテーマはきっちり描けていてよかったです。
全体的な感想としては「面白かったけど、明と了の関係についてもう少し時間をかけてじっくり物語を描かないと最後のアダムとイブ化した明と了にエモーショナルを感じないし、作画ももうちょっと気合い入れてほしかった。」な作品でした。
色々文句言ってますけど、トータルでは75点ぐらいです。見てる間楽しかったので僕は大満足です。みんなもネトフリ買ってとりあえず見てみましょう。
終わり